「イタチさ〜んvv」

「五月蝿い」

 

うふふ〜っと乙女走りでやってきた鬼鮫はイタチの手刀一撃で地に落ちた。

 

 

 

 

//BIRTHDAY 0318//

 

 

 

 

「うぅ…イタチさん、酷すぎる…」

「な〜にしてんだ、鬼鮫?」

 

まるで陸に上げられて息ができずもがいている魚のようだった鬼鮫に降ってきた聞き覚えのある声。

その声にハッと顔を上げる。

 

「ナルトく〜ん…うわぁあぁぁん…」

「……い、一体どうしたんだよ( ̄Д ̄;;)」

 

ナルトの顔を見ると同時に泣き出した大の男に微妙に引きつつも、

ナルトは鬼鮫を引き起こし、理由を尋ねる。

 

「イタチさんったら酷いんですっっ!」

「?」

「今日は俺の誕生日なのに…グスッ…くれたのは手刀一発だなんてぇぇぇ( ┰_┰)」

「そりゃぁ、けっさk…じゃなくて、ひでぇな…」

「でしょでしょ〜〜〜〜〜」

 

最早大人という自覚すらないサメは、ナルトの笑いが天使の微笑みに見えるほど重傷だ。

実際のナルトは、鬼鮫の悲嘆っぷりが同情を通り越して面白くて仕方がなかったのだが…

と、そうだった!!とポンと手を叩くと、

ナルトはポケットからどうやって入っていたのか巨大な包みを取り出した。

 

「ほい。」

「なんですか、これは…?」

「誕生日プレゼントvvここに来た目的を忘れるところだったぜ…」

 

ちなみにここは暁本部、敵地の真っ只中である。

ナルトは鬼鮫に誕生日プレゼントを渡す為、態々ここまで足を運んだのだ。

 

「俺に…ですか?」

「他に誰がいるんだよ?(*´∇`*)」

「ハハハ…そうですね…アハハハ…(T^T)」

「…だから泣くんじゃねぇよ…それより開けてみろってvv」

 

鬼鮫はダーッと喜びの涙を流しながら、リボンを解き包みを開けた。

そして中から出てきたものに絶句する…

 

「え〜っと…これは何でしょうか?」

「聞いて驚け!オレと朱寂共同開発!超ハイテク水槽だ☆」

「………」

 

鬼鮫はガックリと肩を落とす。

そんな鬼鮫に気付いていないのか、ナルトは嬉々として性能の説明を始めた。

 

「水温の自動調節はもとより、水の流れも上流、中流、下流、海と四段階調節が可能で、

川海両方の魚の飼育が可能だ。お前がどっちの出身かわかんなかったからなvv」

「へ、へぇ…」

「そして人間界に慣れすぎたお前の為に、水に浮かないように特殊な磁場を作り出す

椅子とテーブルのセットそれと電話を標準装備だ!そしてプライバシー保護の為、

中にあるレバーで自由に開閉できるシャッター付き。ちなみに今は閉まっている状態だ。

その他にも…(延々と続く)」

「…いい加減にしてください……

俺は人間ですって何度言ったら理解してくれるんですかっ!!

「あははははははははははははははははははっははははははっはっ」

「…ちょーー笑ってるょ、この人………」

 

人は憤慨しているというのに、楽しそうに笑い転げるナルトに

怒りを通り越してこの人はショウガナイなぁ…と諦めの境地にたどり着いてしまう。

いつもナルトの不思議な才能?には勝てないのだ。

 

「悪ぃ悪ぃ…ちょっとしたジョークだょ☆たまにはこんなプレゼントも楽しいだろ?」

「ε-(ーдー)ハァ…そうですね。でもナルトくんに関して言えばいっつもですけどね…」

「そうだっけ?まぁ、いいじゃん(o^∇^o)」

 

楽しそうに笑いながら、じゃぁまたな〜っとナルトは手を振ってその場を後にしようとして

鬼鮫を振り返った。

 

「あ〜そうだそうだ。お前さぁ、マントの後ろ…なんか穴開いてるぞ?(=´▽`=)ノ」

 

今度こそ笑いと共にナルトは帰っていった。

鬼鮫はというと、ナルトに指摘されたマントを脱いでみる。

と、そこには…

 

「……誕生日おめでとう…………って、これイタチさん…?」

 

恐らく鬼鮫を手刀で倒した後、天照で器用にも文字を刻んだのだろう…

写輪眼の使いすぎは目にとても負担かけるというのに。

 

「まったく…あの人は素直じゃないんだから…それにしても…」

 

さっきから妙に背中がところどころスースーするなぁ…と背中に手を回してみると…

 

「Σ(|||▽||| )……こ、これはっ…?!」

 

鬼鮫の身体には到達していないものの、服は全てマントと同じ様に文字がくり貫かれていた。

ある意味神業的なイタチの光線捌きに圧倒されつつも、

この状態のままナルトと話していたかと思うと、ちょっと恥ずかしくなってきた。

慌てて水槽に飛び込むと、運良く?準備されていた<水中でも使用可能な特製裁縫セット>を片手に

洋服の修復作業に取り掛かった。

早くもナルトのプレゼントは大活躍である。

 

「なかなかこの水槽悪くないかもしれない…」

 

それ以来、鬼鮫はその水槽がお気に入りになり、そして…魚にまた一歩近付いた。