「い、いや…別に忘れてた訳じゃないんだって…った、偶々任務が重なってて… な、なぁ木ノ葉丸?」 「そ、そうぞ…エビス先生!俺が先生の誕生日忘れる訳ないだろ、コレ!!」 「いいんです…もう、私なんて木ノ葉丸様には敵いませんし… 結局ナルトくんの役にも立てなくて…うぅ…」 『……(どうしよう…)』
//BIRTHDAY 0308//
実は、二人ともエビス先生の誕生日なんてすっかり忘れていました… 先月の三代目の誕生日以来、暗部に入隊した木ノ葉丸は連日ナルトと任務、 ナルトも相変わらず下忍と暗部の両立で忙しかったし…というのは所詮言い訳だけれど。 なんと言っても、丁度一ヶ月前の三代目の誕生日で頑張りすぎてしまったのが大きい。 もう、めんどくさいったら…あっ、失礼…ちょっと本音が… とにもかくにも、忘れていたことはしょうがないとして、 機嫌を損ねてしまったエビス先生をなんとか喜ばせないと!!と二人は考えるのだけど…
「ごめん!何も浮かばねぇ…」 「ナルト兄ちゃ〜〜〜〜ん」
ケロッと悪気もなくそう言ってしまうナルトは、流石である。 そんなナルトにより一層エビスはしょげていく…
「うわ〜〜ん!!やっぱり私なんか必要ないんですねっ!」 『うわ〜んって…』 「エビス先生、大人気ないぞ、コレ!たかだか誕生日忘れられたくらいで!!」 「やっぱり忘れてたんですね…木ノ葉丸様…( ┰_┰)」
ジメジメジメジメ…
あまりにジメジメ湿っていた為、エビスの頭上からニョキニョキ生えてきたキノコを パキッと折ると、ナルトは興味深そうにそれを見つめた。
「……カカシに食わしてみようかな…」 『えっ?!Σ( ̄Д ̄;;)』 「エビス先生、木ノ葉丸〜これの調理手伝ってよ?」 『はっ?Σ(゜ロ゜;;)』 「よし!んじゃ、オレんち集合な〜!!」
気付けばナルトは既に遥か遠くからヒラヒラと手を振っていた。
『ホント人の話聞かない…』
しょうがないな…と嘆息して、エビスは木ノ葉丸とナルトの家へ向かった。
「お〜い、お前ら遅いぞぉ!!」 「ナルトくんが早すぎるんですよ!」 「そうだぞ、コレ!!っていうか、何してるんだ兄ちゃんたち…」 「何って、ナルトが美味しそうなキノコ持ってきたから焼いてるんだよ〜」 「えっΣ(|||▽||| )いやいやいや、あれは私の頭に生えたキノコでして…」 「大丈夫よ、食べるのはアイツだからvv」
いのは嬉しそうにクイクイと親指で<アイツ>を指した。 そこにはグルグル巻きにされた…
「シカマル…くん?」 『ちょっとお仕置きをねぇ〜〜(ΦωΦ)ふふふ・・・・』 「お仕置き?!」 「ちゃんと用意しとけって言ったのに、シカの奴…任務を完遂できない奴はお仕置きだ!」 「ナルトくんを怒らせるなんて、一体何を用意できなかったんです? 里のナンバー2でも用意できないものなんて…」
不思議そうに首を傾げるエビスにナルトは極上の笑顔でハイ、と何かを手渡した。
「?」 「開けてみてよ」 「こ…これはっ!!」
エビスに手渡されたのは、今週末に発売予定のナルトの写真集。 正確に言えば、20歳前後の短髪美青年に変化したナルトの写真集である。 暇な時間がイヤだと、モデルがやりたいと突然言い出したナルトの我侭で始まったことなのだけれど… 勿論、ナルトという名前は出してはいないが。 この写真集は紹介ポスターが全て持ち去られるなど、発売前からの超人気で、 写真集自体も全て予約済みで、もう手に入れることが不可能だといわれている。 まぁ、一部の暗部さんが纏め買いしたり、どこかの里の長が纏め買いさせたりした所為もあるが… エビスも最近知ったばかりで、知った頃にはもう遅かった為、諦めていた一品である。
「どうして…」 「欲しがってたからさ///」←実はさっき思いつきました。 「えっ…?」 「だーかーらー、誕生日プレゼントだってば!」←くどいようですが、さっき思いついたばかりです。 「たん…じょうび…プレゼント?」 「まったく…これ手に入れるの大変だったんだからねぇ〜感謝してよ、エビスせんせv」←ナルトに言われて気付きました。 「そうそう。ナルトが絡むとシカマルってバカみたいに手強いんだから!!」←本音。 「バカみたいじゃなくてバカよ、チョウジ」 「ああ、そうだったね」
大笑いする三人を交互に見ながら、エビスは呆気にとられたように呟く…
「…忘れてたんじゃなかったんですか……」 「忘れてたのはそこのアンタの生徒だけだよ(笑)」←ぬけしゃぁしゃぁです。 「ひどいぞ、ナルト兄ちゃん!!自分だけ!」 「でもお前が忘れてたのは事実だろ?」 「うぅ……」 「まぁ、そういじめないの!」 「そうだよ、ナルト。ねぇ木ノ葉丸、それエビス先生にでしょ?」 「えっ…うん。俺、何も思いつかなくて…先生が前にこの花が好きだって言ってたから…」
木ノ葉丸はエビスに向かってオズオズと小さな金色の花を渡した。
「先生、忘れててごめん…誕生日おめでとう」
俯く木ノ葉丸の頭をフワリと暖かい手が覆って、驚いたように木ノ葉丸は顔を上げた。 そこには珍しく嬉しそうにニコリと微笑んだエビスがいた。
「ありがとうございます、木ノ葉丸様。よく私の好きな花を覚えていてくれましたね」 「当たり前だ、コレ!」
急に元気に鼻を擦り上げた木ノ葉丸に周囲が笑いに包まれる。
「ナルトくん、いのさん、チョウジくんたちもありがとう」
一瞬、一帯は平和になった… しかし、一人の男のモゴモゴした声にその場を冷めた空気が覆うことになる。
「俺のナルトの写真集返せーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!! あれは全部俺のものだーーーーーーーーーーーぁあ!」 『………シカマル(くん)(兄ちゃん)……』
キノコの味はどうだったんだろうね?ウフフ…
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