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「ナルトくん、この人は僕に任せて行って下さい」 「ゲジマユ…でもこいつめちゃくちゃ強いってばよ?(めんどくせぇ…行きたくねぇなぁ)」 「何してるんです!早く行ってください!!この人は僕が絶対倒します!」 「……(行くっきゃねぇか…あぁ、だりぃ…)」
漆 * 佐助 - SASUKE -
サスケが今何処にいるかなんて、探るまでもなくわかっていた。 バカみたいに垂れ流された気配…まだ気配もうまく消しきれていない。 やはり蛇のところにやるのが手っ取り早い。 英雄の滝を越えようとする後姿にさっさと気付かずに行ってしまえとナルトは願った。 他の奴らには間に合わなかったと言えばいい。 が、運悪くサスケは後ろを振り返り、ナルトに気付いてしまった。 まぁ、面倒臭いという理由で隠れていなかったナルトが悪いのだけど。
「ナルト…俺を止めに来たのか」 「……」 「ムダだ…お前に俺は止められん。俺は行く」
ナルトはサスケの言葉に深い溜息をつき、一言…
「勝手に行けば?」 「なっ?!止めに来たんじゃねぇのかよ!!」 「止めて欲しいのか?」 「クッ…」
訳がわからないという様子で、だが止めないのであれば自分には好都合と踵を返しかける。
「おい」
先へ進もうとするサスケの後方で止めないと言ったナルトが引き止める。
「何だ」 「強くなってオレのところに帰って来い」
しれっと訳のわからないことを口走るナルトに怪訝そうな顔を向ける。
「どういう意味だ?」 「ついでに音、探って来いよ」 「だから何を言っている?」
人の話など一切聞かず、淡々とナルトは話し続ける。 まるで独り言のようにも聞こえる。
「個人的にお前は気に入ってるんだ。正直、お前をあの蛇のところになんかやりたくねぇんだけどな…」 「ナルト…」 「それと、何かあったらカブトに頼るといい」 「?カブト…何を言っているんだ」 「あの人は木ノ葉の忍だからな。きっとお前の力になってくれる」 「ヤツは音忍だぞ?ナルト、お前一体どうしたんだ?」 「カブトは音に潜入しているだけだ」 「なんでお前がそんなこと…」
何から何まで理解不能なナルトの言葉にナルトがおかしくなったのではないかと不安になる。 元々仲がいい訳ではなかったが、それでも親友と呼べるくらい互いの事を知っていた筈だ。 そのナルトの口から紡ぎだされる言葉はナルトの言葉でないような…
「……お前、口癖はどうした」 「さぁな。音に行け…そこに行けば全て判る」 「今、教えてくれないのか」 「めんどくさい」 「フ…可笑しな野郎だ…ナルト、最後に俺と戦え」 「はあ?!戦うのかよ?」 「俺はお前と戦ってみたい。あの時はサクラに邪魔されたしな」 「万華鏡写輪眼…そんなに欲しいのかねぇ…」 「…そんな事まで知ってやがるのか…」
今更驚くことでもないか…と自嘲気味に笑うとナルトに強い視線を向ける。
「お前を殺す気はない。俺は兄とは違う道を行く」 「ふ〜ん。ま、どちらにしてもお前はオレを殺すことは出来ないけどな」 「ドベのお前に俺が負けるとでも言うのか?」
鼻で笑うサスケを見てナルトは呆れたように大きく欠伸をすると巨大な岩の上に仰向けになる。
「オレとお前の実力差もわかんねぇなんて、お前もまだまだだな… せいぜいそれがわかるくらいまでは鍛えてもらって来いよ」 「なんっ……」
言葉を返そうとしてナルトを覗くと、ナルトはスヤスヤと眠っていた。 まるでここに自分の敵は居ないと、寝ていてもサスケ程度なら簡単に倒せるとでも言うように。 その時点で自分がナルトに劣っている事など簡単に理解できた。 サスケは額当てを外すと、眠るナルトに誓う。
「必ず強くなってお前のところに戻る。それまで首を洗って待ってやがれ」
森の向こうに消えるサスケの気配。 ナルトはフッと笑みを溢した。
「せいぜい里の為に強くなって帰って来い、サスケ」
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