「(/||| ̄▽)/ゲッ…今年も<ナルト>の苦手な分身かよ…もういい加減に卒業させろよ… ハナビ卒業まで待ってたらオレ大人になっちゃうし…」
今年は卒業のはずだった…しかし三代目が手配し忘れていたのだ。
「ったく…覚えてろよ、じじい!!(*`Д´*)」
案の定卒業試験に落ちたオレは、ブランコに座ってぶつぶつ呟いていた。 そんなオレにミズキという大して話したこともない教師が優しげに近付いてきた。
「卒業したくありませんか?」
閑 * 卒業 - GRADUATION -
「火影様のところに『バカでも分身が出来る本』というのがあるはずです。 それを借りて来て試してごらん。すぐに分身なんてできるから(o^∇^o)昔、僕もそれで出来る様になったんだょ〜」
その書は幼い頃読んだことがある。とても簡単で、どんなバカでも出来ると銘打つだけはあるなぁと思ったものだ。 だが、じいちゃんに対して怒っていたオレは、その本が読んでもおもしろくもなんともない事と相俟って、 じいちゃんが最も困るであろう<封印の書>を持ち出してやった。 案の定、火影の執務室は大騒ぎになった。 が…それにも増して慌てたのは何故かオレの居場所を探し当てたミズキ先生とイルカ先生だった。
「ナルトぉ!その巻物をどこから持ってきた」 「じいちゃんのとこだってば(*´∇`*)」
ナルトは木の根元に腰掛けて楽しそうに巻物を読んでいた。
--……読む?あの禁書を…ナルトが??
「ナルト…」 「なんだってば?」 「お前それが読めるのか?」 「ん?当たり前…ってやば…全く訳がわからないってば〜ヽ(=´▽`=)ノ」
--誤魔化せたか?まじぃ…バカなオレが禁書なんて読めたらヤバイよな…(冷汗)
「だよな…先生もちょっと焦っちゃったぞぉ…(;゜∇゜)/」 「先生もバカだなぁ…アハハハ」 「さぁ、ナルト。それをこっちに渡すんだ。それにしても…」
そう言ながらイルカはミズキに目を移す。
「アンタ、ナルトになんてことさせるんだ!!」 「違う!!僕は『バカでも分身が出来る本』を借りて来たら?って言ったんだ! ていうか普通禁書なんてアカデミー生ごときに盗み出せる訳がないじゃないですか!!(>o<")」 「そういえば…」 『ナルト(ナルトくん)!どういうことだ??』 「ハハハ…( ̄Д ̄;;) しくじった〜」 「このバカ…なかなか帰って来ねぇから何してやがるかと思ったら…」 「シカマルぅ〜助けて?」
丁度いいタイミングで現れたシカマルをナルトは潤んだ瞳で見上げた。 シカマルは顔を真っ赤に染めながら目を逸らすと、小さく嘆息した。
「ったく…しょうがねぇなぁ…いっつもめんどくせぇ事態に巻き込みやがって…」 「シカマル、お前何か知ってるのか?」 「ナルトを卒業させてくれると約束してくれるなら話します。ちょっと結果を書き換えるだけです、簡単でしょ?」 「…それは…出来る訳がないだろう?実際ナルトは基礎の分身すら出来ないんだぞ!」 「ナルト」
ナルトはゆっくり立つと面倒そうにパパパッと印を組んだ。
「多重影分身の術!」 『なっ…』
その場に現れた千人のナルトにイルカたちは目をぱちくりさせた。
「これでお判りでしょうが、ナルトは本当は強い。ただそれだけの事です」 「じゃぁ…アカデミーのナルトは演技だったのか?」 「そんなに落ち込まないでください、イルカ先生。あのバカは素です。偽っていたのは力だけです」 「バカ…シカマルひでぇ…」 「五月蝿い。ったく、てめぇは黙ってろ!人が一生懸命言いくるめてるのに」 「言いくるめて…」 「…ヤベ…」 「シカマル、役立たず…」 「あっ!おいナルト、任務だ」 「ん?ホントだ〜らっきぃ☆」
イルカたちには追えないほどの速さでナルトとシカマルは印を組むと、 黒衣に包まれた二十歳前後の青年に変化した。
「ナルト?!」 「シカマルくん?!」 「んじゃ、そういうことで」 「詳しくは火影様に聞いてください」 「あっ、この巻物ついでに返しといて(*´∇`*)」
そう言い残してナルトとシカマルは暗部特有の面を被り、その場から煙の様に消えた。 その場には一瞬の内に起こった事態に呆然とする大人二人が残された。 水晶玉で一部始終を見ていた三代目の所に血相を変えて大人たちがやって来るまであと僅か… 三代目は天井を仰ぎ、大きく溜息をついた。
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