「え〜オレ嫌だってばぁ…そんな任務〜」 「火影になる為に必要なことだぞ、ナルト。ま、嫌ならいいんだが…」 「やっぱりやるってば☆」
下忍全員の呆れた視線を物ともせず、断固任務拒否をするナルト。 それを旨く嵌める五代目火影−綱手…波多から見ればこんな感じだろうか。 だが実際のやり取りは違っていたとしたら…
みんなオレについて来い!汗と涙のタクラミ大サバイバル
「シカマル、何でお前がそっちにいるんだってば(お前任務どうしたんだよ)」 「めんどくせぇが、なんでかオレはこっちらしい(お前こそ本体じゃねぇか、任務はどうしやがった)」 「(こんなおもしれぇこと参加しねぇ訳にはいかねぇだろ♪任務はばあちゃん脅して休みにしてもらった☆)」 「(ったく…ま、オレも似たようなもんだな。理由は違うけど)」 「(なんだよ?)」 「(長い間ちゃんと会ってなかっただろ?)」 「(??)」 「(お前に会いたかったんだよ)」 「(///…でもオレが参加するってよくわかったな)」 「(オレを誰だと思ってやがる。どれだけお前と一緒にいると思ってるんだ)」
二人の会話は僅かな動きで表現される二人にしかわからない手話で行われている。 念話だと人に聞かれる可能性もある為、二人で開発した方法である。 それはさておき今日はアカデミーの演習が行われる。 演習内容はタクラミ山のワルダクミ大岩まで行って秘密文書を取ってくる事。 一泊二日の大々的な演習である。 そして今回その演習をサポートするのがナルトたち下忍なのだ。 ナルトの班は…お馴染み木の葉丸軍団。 明らかに仕組まれているとしか思えない。 そうこの演習には裏の目論見があったのだ。 それは勿論木の葉丸の修行の為。 何かにつけ然程やる気の出ない木の葉丸を窮地に立たせることで成長させようというもの。 その為にナルトが班長に選ばれたのだ。 何せナルトは木ノ葉一の忍なのだから。
時は変わって夕刻。 急に降り出した豪雨の中、強風にも負けず歩くのはナルト一行。 ルート外の険しい道のり。 崖を上る彼らに迫る危険。 危機を脱したのはいいが、食料は全て崖の下。 腹を空かせる木の葉丸たちに取り出したのは…カップめんにレトルト食品…全てお湯がなければ出来ないもの。 全てはナルトの計算だった。 まずはバームクーヘンを三つに分け、チームワークの大切さを教えてやる。
「大切なのはチームワークだ」 『これ、ナルト兄ちゃんにあげる(ぞ、コレ)』 「ありがと〜なぁ。でもオレはカップラーメン食べるからいらないってば」 『え゙…だってお湯なんてどこにもないよ?』 「何言ってんだお前たち…水はいっぱいあるんだから沸かせばいいだろ?」
そういってナルトは近くにあった石をクナイで削り、お椀を作る。 その中に雨水を入れ、素早く印を組む。
「火遁 小火球の術」 「え…小?!小って言ったか、コレ?」
ちっちゃな火の玉でバームクーヘンの袋に火を付け、小枝で作った台に椀を乗せ、待つこと一分… グツグツと煮えたぎったお湯をカップめんに注ぎ、三分待てば完成である。
「食料は現地調達ってね〜♪」 「何か違う気がするぞ、コレ」
ナルトは一人で美味そうにラーメンを啜る。 羨ましそうに見つめる木の葉丸たちにナルトは一つずつカップめんを差し出す。
「あんなの出来ないよ〜」 「そうだぞ、コレ」 「あの技は上忍レベルの技です」 「いや、小火球は簡単だぜ?なにしろチャクラが足りなくて大技出来ない天才暗部が作った技だからな☆」 「本当か、コレ」
木の葉丸たちに印の組み方を教えると、それぞれが思い思いにやってみる。 逸早く出来た木の葉丸はモエギとウドンに教えてやっている。 その様子を見てナルトは優しく微笑んでいた。
その頃、シカマルは台風の情報を知らせる為にナルトの気配を追っていた。 わざとらしくキレイに消された気配にイライラしながら辿り着いた先に落ちているのは木の葉丸たちの落としたリュック。
「ったく、何企んでやがる」
今回の目的を知らされていないシカマルは、チッと小さく舌打ちしイルカたちの元に戻り報告する。
「ルート外の場所で発見しました」 「ナルトの奴…」 「オレ行って来ます」 「俺も行く」
一人で行こうとするシカマルをイルカが止め、結局二人で行く事になった。 シカマルは内心焦った。 もし何かに巻き込まれていた場合、ナルトがどうしても素で戦わなければならなかったら、イルカにバレる… それはつまり、敵が増える事を表す。 シカマルはそんな事態は避けたかったのだが… そんな事を今更言ってもしょうがないので、シカマルは中忍程度の速度で先を急いだ。
その頃ナルトは岩に挟まれていた。
「ナルト兄ちゃんを助けるんだ、コレ。チームワークだ、コレ」
正に窮地に立たされた木の葉丸は、しっかり先代から受継いだ持ち前のリーダーシップで軍団を引っ張る。 さっきまで出来ないと言っていたチャクラコントロールも一瞬でマスターし、瞬時にモエギたちにコツを教える。
--さすが、プロフェッサーと呼ばれた三代目の孫だな(o^∇^o)
丁度木の葉丸たちがナルトを助け出した頃、シカマルとイルカが到着した。
「まためんどくせぇことになってやがる…(しかもなんて楽しそうな顔してやがるんだ、あのバカ…)」 「ナルトぉ!」
当のナルトはというと、今にも落ちてきそうな巨岩の真下。 助け終えて感動している木の葉丸たちを即座に非難させ、自分はその場に残る。
『ナルト兄ちゃん!!』 「ナルトぉ!!」 「ナルト!(どうせ最後はカッコよく締めたいとかだろ…ったく…あとできっちり聞かねぇとな)」
「螺旋丸!!」
ガッツポーズの様な姿で岩を破壊し、さも満足そうな顔にシカマルは溜息をついた。
「全部ナルト兄ちゃんの言う通りにしただけです」 『その通りです。悪いのは全部ナルト兄ちゃんです』 「ということだそうだが、ナルト」 「お前らいつからそんなチームワークよくなったんだってばよ〜」
綱手から逃げるナルトは満面の笑みを浮かべていた。 木の葉丸たちが今回学んだ事全て、きっと今後の役に立つだろう。
「早く里の為に強くなれよ、未来の火影様」
おまけmini
「大成功だったなぁ、ばあちゃん」 「Σ(; ̄□ ̄)そ…そうだな…」 「んで、どこ行こうとしてるんだ?」 「なんのことだい…( ̄Д ̄;;」 「さぁ、執務室に戻りましょうか?火影様ヽ(=´▽`=)ノ」 「いっいやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!賭場が、賭場が…」 |