「ナルトや」

「何だよ、じいちゃん?」

「そろそろアカデミー入学の時期じゃな(*´∇`*)」

「(゜Д゜) ハア?なんで暗部のオレがアカデミーなんかに…」

「契約を忘れたとは言わせぬぞ、ナルト」

「契約?なんだっけ…( ̄Д ̄;;)」

「お主という奴は…暗部に入隊するときに結んだじゃろうが…」

「|‐∠‐‖知らないなぁ…」

「とぼけたって無駄じゃ!!」

 

ナルトは遥か彼方を見つめ現実逃避していた。

 

 

 

 

* 契約 - CONTRACT -

 

 

 

 

 

ナルト 五歳

 

「三代目」

「おお、自来也か。いつもすまんの」

「いえ」

「ナルトの成長具合はどうかの?」

「ナルトは四代目によく似ております。教えた事を直ぐに覚えてしまう…」

「あやつは天才じゃ。もうこの里にあやつに敵う者などおらんじゃろう」

「ええ、もう教える事などありません」

「ナルトはなんと言っておる?」

「暗部に入りたい…と」

「そうか…」

 

 

 

 

 

 

 

妖孤九尾が里を襲撃し、四代目が死んでから六年。

里の救世主である筈のナルトは里人の恨み、怒りといった負の感情を一身に受け、時には命を狙われた。

そんな子供が年相応に育つ訳もなく、いつしかナルトはただただ力を手にすることだけに集中するようになった。

そして今、その力は既に火影である儂をも超え、事実上木ノ葉ナンバー1である。

しかしナルトは忍ではない…何故ならばナルトは齢五歳の幼子なのだから…

 

自来也を帰した後、暫く思い悩んだ挙句に辿り付いた計画…それを胸に儂はナルトの元へ向かった。

厳重に閉ざされた扉をゆっくり開けると、ナルトは部屋の端で丸くなって眠っていた。

その手にしっかり収まるクナイさえなければ、正に天使の様である。

と、突然目の前のナルトが消え、首に当たるクナイの冷たい感触に息を呑む。

 

「ナルト…儂じゃ…」

 

声も絶え絶えに言うと、首元のクナイが外される。

 

「知ってるよ」

「…全く…儂をおちょくりよってε-(ーдー;)」

 

ナルトは器用に口元だけで笑った。

 

「ところで…お主暗部に入りたいそうじゃな」

「ああ…うん、入りたい」

「じゃが、お主はまだ五つじゃ…認めるわけにはいかんの」

「年なんて関係ないだろ?あの<うちはイタチ>だって十一歳で入隊したってエロ仙人から聞いたぞ?」

「十一歳と五歳では大違いじゃ!!」

「それにこの里人手不足なんだろ?オレなら守るものも何もないし、時間も有り余ってるし。

溜まってる任務SランクでもSSランクでもいくらでもこなせるぜ?困ってるんだろ…じいちゃん」

「う…」

 

儂には反論の余地はなかった…確かに人手不足で任務が滞っているのは間違っていないし、

この流れは自分の思惑通りであるのだから。漏れそうになる笑いを堪えつつ儂はナルトに返答する。

 

「わかった。じゃが、条件がある」

「条件?」

「うむ。おぬしには普通の子供と同じ様にアカデミーに通い、正式な手順で忍になってもらう。

そして最終的には火影に就任すると約束するなら、入隊を許可しよう」

「はあ?!なんだよそれ…」

「勿論その間も暗部として任務を行ってもらう」

「う〜ん、まぁどちらにしろ暗部になれるなら別にいいか。でも火影はやらないよ?」

「…まぁよいじゃろう( ̄ー ̄)とりあえず契約じゃ。此処に名前を記し、拇印を押すんじゃ」

 

ナルトは内容に目を通さずにサインし、儂はそれを見届けてさっさと契約の印を結んだ。

 

「こういうところはまだまだ子供じゃのう…」

 

その日、火影邸では珍しく三代目の高らかな笑いが聞こえていたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数年後--冒頭に戻る

 

「これがその契約書じゃ。よく読んでみよ」

「……げっ(゜〇゜;)騙したな…」

「ちゃんと目を通さんかったお主が悪い」

「クソ…わかったよ、行けばいいんだろ!」

 

--ちゃっちゃと卒業して、ちゃっちゃと上忍試験でも受けるか…

 

「ああ、ナルト。わかっておると思うが、くれぐれも実力がバレん様にな」

「え゙…Σ(; ̄□ ̄)」

「当然じゃろ。お主の実力がバレたら里が大変な事になるわ!!」

「…(-_-;)」

 

こうしてナルトはアカデミーに通う事になったとか…

 

 

契約内容

 三代目火影はうずまきナルトの暗殺戦術特殊部隊入隊を許可すること

 うずまきナルトは暗部を裏の顔とし、表では普通の子供として正式な手順を踏み忍になること

 うずまきナルトは表に於いて必ず火影になること

この内容が破られる時、契約者の魂は即座に煉獄送りとする。