「テル、ここにバスタオル置いとくぞ」

「すんません…」

 

ずぶ濡れで北見の部屋に駆け込んできたテルは今シャワーを浴びている。

テルにしてみれば大雨に降られて困っている自分の前に出現した北見のマンションは

神の救いだった。

しかし、北見にしてみれば自分の好きな男がずぶ濡れの状態で部屋に来るなど、

気が気ではなかった。

いつも通りポーカーフェイスを装っているものの、

今まで抑えてきた欲望が暴走を始めようとジワジワと湧き出してきていた。

あくまで冷静を心がけながら、タオルを脱衣所に置く。

脱ぎ散らかされた服を乾燥機に突っ込んだまでは良かった。

 

「あ、北見〜」

「なんだ………」

 

振り返るんじゃなかった…

ヒョコッと扉の隙間から顔を出しているテルの身体が半透明の扉に透けて見えた。

寧ろハッキリ見えたほうがいい。

中途半端に見えるのはより妄想を駆り立て、己自身を追い立てた…

もはやテルの言葉など耳には入っていない。

 

「北見?」

「あ、ああ…」

 

自分らしからぬ曖昧な返事をして踵を返す。

パタンと扉の締まる音がして、フゥと嘆息するともう一度扉の方に振り返った。

ガラス越しに見えたテルの裸に思わず股間が熱を持つ。

見られるかもしれない、そう思いながらも手は自然と股間へ移動する。

 

「ハッ…クッ…」

 

ガチャ…

 

「き…たみ?」

 

驚きに開かれた目が北見を射る。

 

「幻滅したか?……お前の裸を想像して、こんなになった俺に幻滅したか?」

「…オレの裸を想像って…」

「テル?!」

 

テルはそっと北見のそれに手を触れると、ゆるりと扱いてみる。

動きに合わせて北見が上げる声に自分の方も硬くなるのを感じた。

テルは上目遣いに北見を見上げて、おずおずと口を開く。

 

「北見は俺としたいの?」

「したい」

「…オレ、北見ならいい…かも///」

 

ありえないと思っていた事が現実になる。

テルの言葉にクラリと眩暈がした。

 

「テル…嫌だと言っても今更止められないぞ?」

「ん…///」

「後悔しても遅いぞ?」

「しないよ……北見ならさ、後悔しないようにしてくれるだろ?」

 

真っ直ぐな瞳が北見を射た。

 

「テル…好きだ」

 

チュッと音を立ててキスをした後、舌を使った深いキスになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

長いキスの後、身体の力が抜けてしまったテルを洗濯機の上に乗せる。

頭の中で想像していた身体を目の前にして、興奮気味に首筋を強く吸った。

たったそれだけのことで、ハァン…と甘い声が聞こえる。

そのまま唇をずらし、身体中に舌を這わせていく。

ピンク色に染まった胸の飾りはプクリと立ち上がっていた。

ペロリと赤い舌で舐める北見を見て、テルは思わず息を呑む。

肌に掛かる北見の息にドクドクと心臓が脈打っているのがわかる。

 

「北見ぃ…」

「ん?」

 

顔を上げると、テルからゆっくりと顔を近づけてくる。

ピチャピチャと唾液の音だけが響く。

北見はテル自身を扱きながら、同時にテルの後孔に先走りで濡らした指を宛がった。

 

「ひゃん…」

 

ズブズブと指はめり込んでいこうとするが、もともと受け入れるようにできていないそれは

異物の侵入を拒否した。

テルを抱き上げて床に下ろすと、洗濯機にしがみつくようにして、自分の方に尻を剥かせた。

然程厚くない尻を撫で上げ、そっと開いて秘部を露わにさせると、

躊躇いなく舌を這わせ、何度も何度も出し入れする。

 

「や…あっ……アン…ハンッ…」

 

クチュリ、クチュリ…

クチャクチャ…

 

テルのあげる甘い嬌声と舌を引き抜く時に漏れる音が響く。

 

「も、ダメ…北見ぃ………オレ、おかしくなりそう…お願い、入れて?」

 

懇願するように振り返ったテルの目には大粒の涙が溢れていた。

その涙を唇で拭うと、既に大きく膨れ上がった欲望をテルの後孔に突き立てた。

 

「んっ……あっああああああああ!」

 

初めて受け入れるであろうそこは、ヒクヒクと波打っている。

それでも受け入れようと、テルは手を握り締めて痛みに耐えていた。

そんなテルを後から抱き締め、一度軽く引き抜くと背中にチュッと口付け

テルの力がフッと抜けたところを見計らって再度強く突き立てた。

多少抵抗があったものの、今度はすんなりと奥まで入り込む。

 

「テル、動いてもいいか?」

「……動いて、北見…」

 

抑揚をつけてテルの身体を突き上げるたびに、テルの苦しそうな声が聞こえた。

しかし、その声も次第に甘い声に変わっていく。

 

「北見ぃ…もっと、もっと…」

「クッ…テル…ハァハァ…」

「アアアン!」

「ここがいいのか?」

「ン…あっ、アッ…そこイイッ…」

 

何度も名前を呼んで、何度も好きだと囁き、何度も何度も口付ける。

応えるようにテルも北見、北見…と連呼した。

ふと、名前で呼んで欲しくなって、北見は耳元で囁く。

 

「柊一…だ」

「しゅ…う…いち」

「もっと」

「柊一っ…柊一」

 

テルが名前を呼ぶだけでイキそうになる。

ホントは中に入った時点でイキそうだった…

テルも同じ様に限界が近付いているらしく、透明な液体が先から流れ落ちていた。

透明な液体を潤滑油のようにしてテル自身を扱きながら、腰の動きを早くしていく。

 

「い…あぁっ…柊一……もう、イクッ」

「俺もだ、テル…テル、愛してる」

「…オレも…北見、好きぃ…」

「テ…ル……クッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

身体をキレイに洗い流し、二人で浴槽に漬かる。

テルを膝に乗せ、後から抱き締めながら…

 

「///なんか、オレ女みたいだったよな…」

「?」

「声が、さ…自分じゃないみたいだった…」

「イイ声だ…聞いているだけで気持ちイイ」

「ばっ…///変なこと言うなよ!!」

「本気で言ったんだがな」

 

クク…と笑いながらも、既に回復を果たした中心は新たに容積を増そうとしていた。

 

「き、北見?!」

「もう一回」

「え…オレやだって……」

「ダメだ」

「ええっ」

「もう一回あの声が聞きたくなった…諦めろ」

「ったく…しょうがねぇな…」

 

オレもアンタのイク時の声、もう一回聞きたい…そう呟いて、テルはクルリと向きを変えて

北見に口付けた。

 

「北見ぃ」

「柊一だ」

「///柊一…」

「テル…」

 

浴室には再び甘い声が響いていた。